まず大前提として、為替相場を考える際には、当然ながら相手国の情勢も加味せねばなりません。即ち、ブラジル経済の将来を予測する事と同様に、日本経済が今後どうなっていくのかも検証せねばなりません。一方の通貨に上昇要因があっても、もう一方の通貨にそれ以上の上昇圧力が掛かっていれば、為替安となる可能性もあるからです。
まず、ブラジル経済の将来性については、当サイトの他のページでも述べたように、有望だと考えられます。今後も高いGDP成長率をキープし、輸出は伸び、海外からの観光客や投資マネーの流入も増えるはずです。経済情勢だけを見れば、ブラジルレアルには通貨高圧力が掛かり続けます。
しかし問題は、ブラジル政府がレアル高を望んでいない事です。ブラジルでは2008年3月より、海外からの投資に対する金融取引税が設定され、その後数度に渡って税率も引き上げられています。これは、海外からの投資マネーの流入が多すぎて、レアル高を招いた事への対抗処置です。ちょうどこの頃は、日本でも高金利で分配金の多い「ブラジルレアル債ファンド」が多数設定された時期です。サブプライムローン問題やリーマンショックにより、アメリカ経済への不安から、世界各国からブラジルへ投資マネーの流入が増えたのです。
よって、ブラジル単独要因からの見通しについては、経済情勢からはレアル高だが、政府の思惑はレアル安です。この相反する要因を加味した総合的な見通しでは、ニュートラルもしくは若干のレアル高が進む事が予測されます。
次に、日本の要因です。2013年より、アベノミクスと日銀の金融緩和が決まった事で、日本円の為替レートはドル・ユーロ・その他全ての通貨に対して、一気に円安が進みました。平均すると、アベノミクス前と比べて20%前後の円安です。安倍総理も、黒田日銀総裁も、それまでの民主党&白川総裁のようにデフレ利権に染まっていないので、円高容認政策は取らないと思われますので、1ドル=80円割れというような極端な円高は、二度と起こらない可能性が高いでしょう。
そして、アベノミクスで予定されている『2%のインフレターゲット』でも、日本の財政再建には不十分です。プライマリーバランスを正常化するには、5%以上のインフレターゲットが必要なので、アベノミクスが遂行され続けても、国債暴落~財政破綻の懸念は消えません。正確に言えば、日本政府が財政破綻する可能性はゼロですが(国債が全て円建てなので、金を刷って返済できるから)、急激なインフレが起きる事になり、国民生活は破綻します。
国民生活の破綻を避けるには、より高いインフレターゲットが必要となります。破綻を避けようとしても、そうしなくとも、将来の日本経済は非常に高いインフレが待ち受けていることは確実なのです。
そして、インフレは物の価値が上がる事であり、逆に言うと「円」という通貨の価値が下落する訳です。よって、将来予想される高いインフレは、他国と比べた円の価値が下がる事にも繋がり、円安が進む可能性が高いのです。
以上、総合して検証すると・・・
- ブラジルレアルは、ニュートラルもしくは若干のレアル高要因が強い
- 日本円は、どう転ぼうが円安要因が圧倒的に強い